プロフェッショナルインタビュー
各業界の経営・マーケティングのプロから見たマーケティングタウンの評価をお聞きする「プロフェッショナルインタビュー」
今回は中堅・中小ベンチャー企業のマーケティングを支援するブランディングテクノロジー株式会社の執行役員を努めながら、個人としてはマーケターの筋トレコミュニティ「マーケティングトレース」を運営する黒澤友貴さんに、マーケティングタウンの評価をお聞きしました。
時間軸によって生きた疑似体験が生まれる
飛田:
そもそもマーケティングタウンを知っていただいたきっかけは何だったのでしょう?
黒澤氏:
NewsPicksの起業リアリティショー『メイクマネー UNDER30』を見てですね。NewsPicksは普段からよく見ている媒体だったのでたまたま目にして、「マーケティングのボードゲームって面白いコンセプトだな」と思っていたんです。
そうしたら、弊社の社員が体験会に参加したみたいで、そこから「うちの研修にも取り入れられたらいいよね」と考えていたところでした。
飛田:
実際に黒澤さんもマーケティングタウンを3期分経営を体験していただいて、マーケティングタウンはどう感じられましたか?
黒澤氏:
まず、マーケティングを自分ごととして捉えるのにすごくいいなと思いましたね。マーケティングトレースをやっていて「フレームワークの分析」と言っても、どこか自分ごとにしきれてなかったんです。マーケティングタウンでは、自分で考えたマーケティングの打ち手が売上になっていくという「マーケティングと経営の繋がり」がイメージしやすいなと感じました。
飛田:
なるほど。経営におけるマーケティング以外の要素との関連性ですね。
黒澤氏:
マーケティングトレースも「マーケティングと経営のつながり」をコンセプトにしてるのですが、そこをフレームワークだけで明確にイメージするのは難しいなと感じてます。
「仮説を出して」って投げかけるだけだとなかなか難しくて、その点マーケティングタウンの仕組みはよくできてるなと。ゲーム内で3年間経営プレイするという、時間軸をしっかり持って体験する点は、他のマーケティングトレーニングだと難しい点ではないかなと思います。
飛田:
マーケティングトレースでも、時間軸を取り入れることもありますよね?
黒澤氏:
時間軸の要素を入れる場合もありますが、マーケティングタウンほどリアルな感じではないですね。年間予算を3億円で設定して、マーケティングのキャンペーンを考えましょう、のようなことは行っていますが、アイディアベースで終わってしまうところは多かったりはするので、収支の変化まで見れて、一緒にゲームをしている人と比較ができるのはすばらしい仕組みだなと思いました。
飛田:
ありがとうございます。
マーケティングと経営のつながりの理解が必要
飛田:
もし、黒澤さんが過去にマーケティングタウンをプレイしていたらビジネスマンとして、知識や経験の面で何か変化はあったと思いますか?
黒澤氏:
僕は新卒で入って10年間今の会社に勤めているので、中小企業のオーナーや社長とやりとりする機会が多かったのですが、そういった場面でのコミュニケーションはもっととりやすくなってたかなと思いますね。
やはり経営者の方と話をするときに、経営感覚ってすごい重要だなと思っているんです。僕は昔ネット広告の代理店事業で営業をやっていた時、終始広告の話をしてしまうことが多くありました。でも、もしマーケティングタウンをやって、マーケティング戦略とそれが経営とどう繋がっているのか、というのを身体感覚で理解できていれば、社長と話すこと自体がもっと面白くなったんじゃないかなと思いますね。
飛田:
黒澤さんが経営者に近い視点で話せるようになったのはどのようなきっかけがあったのでしょう?
黒澤氏:
中小企業の社長と一緒に仕事する中で、広告の話ばかりしてても「めちゃくちゃつまらん」と怒られたりとか、「こんな話聞きたいわけではない」と言われたときですね。その中でじゃあ何を学べばいいのかを考えた結果、マーケティング戦略やファイナンスを学んだり、アウトプットを変えていって、「経営者が喜ぶアウトプットって何なんだろう?」というのを仕事しながら調整していったのが今に繋がっています。
そういったことを振り返ってみると、実際1年目は仕事を覚えて数字つくるのにいっぱいいっぱいです。なので、2年目くらいにマーケティングタウンをやって、経営感覚を身につけられたらいいなと思います。最初は経営に関する本を読んでも「自分ごと」にならないので、理解できないんですよね。それがマーケティングタウンとセットになっていれば、インプットの効率が非常に上がると思います。
飛田:
確かに、ただ本を読むだけではイメージし辛い部分が多いですよね。
黒澤氏:
でも実際そうですよね?
飛田:
僕はもともと商業高校を卒業して、大学でも経営学部に入ったので、経営の知識自体はあったのですが、やっぱり全然イメージができなかった。マネジメントゲームという経営ゲームを体験したときにそれらの知識がつながったという体験があったので、マーケティングタウンは、マーケティングの領域でそういった役割をもつボードゲームになれればと思っています。
黒澤さんは「マーケターの筋トレ」としてマーケティングトレースをされていると思うのでが、マーケティングタウンが、マーケターやマーケティングの能力を身に付けたい人にとって、どういう効果があるのか、ご意見をいただけますか?
黒澤氏:
先ほども言ったように「マーケティングと経営のつながり」を理解できる点ですね。
僕がマーケティングトレースをやっていて、最近引っかかっているのが、最初にいきなりフレームワークを学ぶと、思考が型にはまりすぎてしまうことなんです。逆にマーケティングタウンでは、最初にフレームワークを事細かに説明しないですよね。そこが重要だなと思っています。
実はマーケティングトレースのやり方も変えたいなと思っています。4PやSTPなどのフレームワークを最初から知っていて、そこから言語化できることが重要ですよ、という導入をしてもどうしても生きた戦略にならないというか。
飛田:
型にはまりきってしまうんですね。
黒澤氏:
そうなんです。無理やり戦略を言語化することが果たして正解なのかなとずっと考えています。実際、フレームワークで戦略を考えて、最終的には経営にインパクトを与えるというのが一番重要じゃないですか。
そのつながりの理解のためにも、フレームワークを学ぶ前にマーケティングタウンをプレイした方が、フレームワークを活用する意味の理解度は高まると思いますね。
飛田:
経験してから、だとその重要性にも気づけますね。
黒澤氏:
経営を学ぶときって、フレームワーク集を読むことが多いと思うんです。でもフレームワーク集を読んでもよくわからない、だけどなんとなく提案資料に入れ込もうみたいな発想になって、とりあえずそれで説明してみる。その提案資料を読んだ経営者は、そういった提案をよく目にしているので「また出たよ、戦略エセコンサル(笑)」としか思わない、みたいなことがよくあると思っていて、マーケティングタウンはその解決策になり得るんじゃないかなと思っています。
飛田:
とても嬉しいです。
黒澤氏:
代理店やコンサルタント企業が体験すると、より学びがありそうですね。
事業会社だとお客さんの声も直接聞けますし、どれだけ事業に影響を与えるのかは考えやすいと思いますが、代理店などは経営とお客さんの両方に距離がありますよね。
飛田:
確かにコンサルティングはしてるけど、自分が経営したことないというケースはよくありますよね。
マーケティングの初心者だけでなく管理職の入り口にも必要な戦略脳
飛田:
マーケティングタウンの活用として、どういうシーンや、どのような人達に対して活用するのがいいと思いますか?
黒澤氏:
まず、マーケティングに全く興味がない人や、マーケティングを学んだものの理解できない人は、体験するとマーケティングが理解できると思います。
あとは、中途半端にフレームワークを学んだ人や、行き詰まっている人が「経営とマーケティングの繋がり」を理解するために実施するのもいいですね。
また、マネージャーになるタイミングでも凄く効果があるかなと思います。現場で成績を出していって、チームや部署を持つとなったときに、マネジメント研修は受けるものの、そこにマーケティングの研修が組み込まれるケースってあまりなくて、実際は「マネジメントでチームをどう作るか」といった組織の内側だけにフォーカスされています。
もっと「市場にどう向き合うか」「どう成長戦略をつくるか」といった外側の視点での研修があれば、しっかりと戦略脳を持ったマネージャーが増えていって、組織の成長にも繋がるかなと思います。
飛田:
黒澤さん沢山のご意見ありがとうございました!
黒澤 氏プロフィール
新卒でブランディングテクノロジー株式会社(当時:株式会社フリーセル)に入社。入社後6年ほどは、中小・中堅企業向けに、SEMやアクセス解析を中心にデジタルマーケティング領域のコンサルタントに従事。
現在は、経営戦略の策定や人材育成を担う。2018年より、マーケター向けの筋トレコミュニティ「マーケティングトレース」を運営。日本全体のマーケティングリテラシーを底上げするをミッションに、情報発信や定期的にミートアップ開催を行なっている。書籍に、『マーケティング思考力トレーニング 戦略の引き出しを増やすマーケティングトレース』(フォレスト出版)。
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