”疑似経験”で「学習」と「実践」の隔たりを埋める | Marketing Town(マーケティングタウン)
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”疑似経験”で「学習」と「実践」の隔たりを埋める

2018年、株式会社NEXERAは、経営視点のマーケティングをリアルに体感できる学習用ボードゲーム『Marketing Town』を開発しました。

ボードゲームを通じて会社経営を疑似経験することで、マーケティング・財務・経営戦略などを体感として学習できる企業研修プログラムを実施しています。

なぜ今、株式会社NEXERAは、企業研修に『Marketing Town』を活用したのか。『Marketing Town』を通して、どういう未来を実現していきたいのか。株式会社NEXERA 代表取締役の飛田さんとCBO(最高ボードゲーム責任者)の山本さんにお話を伺いました。

個がマーケティング思考を持った組織をつくる

株式会社NEXERA 代表取締役 飛田恭兵

 

ーなぜ企業研修にボードゲームを取り入れようと考えたのでしょうか?

僕自身の経験から、ボードゲームによる学習が効果的だと感じたのがきっかけでした。高校は商業科、大学は経営学部だったので、学生時代から経営に関する知識を学ぶ機会が多かったです。ただ、座学での学習が中心で、実際にその知識をどのように活用していいのかイメージができませんでした。

そのときに出会ったのが、『マネジメントゲーム』というボードゲームです。マネジメントゲームを通じて、経営を体感的に疑似体験したことで、これまで学んできた経営に関する知識が線としてつながり、初めて腹落ちしました。

 

ー『Marketing Town』は、マーケティングを中心に会社経営を学べる内容になっています。マーケティングに注目した理由は何だったのでしょうか?

昔は、良いものを作れば売れる時代だったと思うのですが、現代は顧客と作り手の関係性が複雑になり、ものが売れない時代です。従来の企業のマーケティングに対するアプローチは通用しなくなってきているため、手法だけでなく社内体制ごと変革していくべきだと思います。

今の時代、ものを売るためには、経営層やマーケティング部門だけがマーケティングについて考えている状態では不十分です。営業・デザイナー・エンジニア・事務といった、一見マーケティング部門とは関係のないようなセクションの人でも、一人ひとりがマーケティング思考を持つことが大事だと考えています。

従来は、経営層やマーケティング部門がマーケティングの施策を立て、現場はその施策に基づいたKPI達成のために業務を行ってきました。しかし、そのプロセスでは、現場の業務が「作業」になってしまい、現場から全体施策へのフィードバックが無い状態や、現場ベースでの適切な判断ができない状態に陥ってしまいます。その状況では、現代の早い時代の変化についていけない組織となってしまいます。

ですので、企業のメンバー、一人ひとりがマーケティング思考を持ち、常に「会社全体として、どう利益をあげていくのか」という本来の目的に向かって自分の仕事をすることが、この時代に必要なマーケティングとの向き合い方だと思っています。

“ボードゲーム学習”を学びの選択肢として提案したい

株式会社NEXERA CBO(最高ボードゲーム責任者)山本龍之介

 

ー山本さんは、株式会社NEXERAで、ボードゲームクリエイターとしても活動されています。なぜ、ボードゲームクリエイターになろう思われたのでしょうか?

ボードゲームを新しい学びの選択肢として、世の中に広げていきたいと思ったからです。僕は、小さい頃から、ボードゲームで遊べる環境が身近にあり、小・中・高とボードゲームで遊んできました。その中で、「ボードゲームって、社会の縮図だ」と思うようになったんです。

人生ゲームって、人生の縮図だなって感じたことはありませんか?僕は、他のボードゲームをやっているときにも、それを感じていました。ボードゲームをプレイすることで、物事の仕組みが自分の中にスッと入ってくるような感覚もあり、「ボードゲームって、複雑な社会の仕組みを簡単に楽しめるようにした形なんだ」と感じました。

そこで、自分でボードゲームを作り、物事の仕組みを表現することに興味を持つようになりました。ボードゲームを通して、色々なことを学べたら楽しいですよね。僕は、「ボードゲーム学習」という新しい学びの選択肢作り、世の中に広げていきたいと思っています。そのために、様々なジャンルの学習用ボードゲームを作っていきたいです。

 

ーボードゲームを使った学習は、従来の学習と何が違うのでしょうか?

ボードゲームを通した学習は、従来の学習と違い、ゲームを楽しみながら効率のいい学びが得ることができます。

ボードゲーム学習の特徴は、「会話」「構造理解」「楽しさ」の3つです。まず、会話。インターネットが普及して、人が直接話すことが少なくなってきた中で、社内コミュニケーションに課題がある企業は多いと思います。ボードゲームを使った研修をすると自然と会話が弾むので、メンバー同士のコミュニケーションが円滑になり、その後の業務がよりスムーズになります。

次に、構造理解。ボードゲームで学ぶと、物事の複雑な仕組みを直感的に理解できます。ボードゲームに含まれている情報量は多くないのですが、実際に自分の手を動かしながら疑似体験することができるので、深い学びを得ることができます。

最後に、楽しさ。学びに楽しさの要素があることは重要です。なぜなら、人間は、楽しいと感じたときに学習意欲が高まるからです。昔から、その仕組みは直感的に理解されていて、たくさんの遊びが考えられてきました。たとえば、獲物をとるための「的当てゲーム」や早く走るための「鬼ごっこ」など。人間の一番シンプルなモチベーションである「楽しさ」があることによって、無理をせずに学習できます。

このように、ボードゲームには、「会話」「構造理解」「楽しさ」の要素が詰まっています。ゲームや遊びは、無駄な行為だと考えられがちですが、実際にはコストパフォーマンスに優れた学習法だと思います。

ボードゲームを通して、学びと実践の間の”疑似経験”を提供する

私たちは、Marketing Townを通して、「学び」と「実践」の間の”疑似経験”を提供していきます。

マーケティングのような複雑な構造は、知識としてインプットしてから実践できるまでに、大きな隔たりがあります。しかし会社経営は、失敗した時のリスクが大きいので、簡単にチャレンジする機会を作ることもできません。

Marketing Townでは、「市場調査」「仕入」「出店」「広告」「販売」「資金調達」を自分の手を動かしながら行うことで、マーケティング及び会社経営の流れを”疑似経験”することができます。そして、その”疑似経験”を通じた失敗体験や成功体験は自らの血肉となり、実際の業務で活かされます。

私たちは、そんな”疑似経験”の機会を創出し続けることで、『幸せな組織』を作っていきます。